兎に角三人が一往救い出されたところで、藤棚の上で暫く立ったり居たりしていた間も、雨は猛烈に降っていたし、水もまだ増して来つつあった。
で、藤棚も危いと云うので、又丸太の橋を渡って、屋根の上へ逃げた。
(丸太のところに更に材木が二三本流れ寄って筏のように重なったのが、大変役に立った)妙子が、こんな危急の場合に忽然と天から降ったように板倉が出現した不審について、彼に質問をする余裕を持ったのは、その屋根の上へ移ってからであるが、板倉が答えたところに依ると、彼にはその朝から今日あたり水が出そうだと云う予感があったのであると云う。