尤も彼自身に云わせると、自分は三度押し流されて死に損ねた、当時自分以外にあの激流の中へ飛び込んだ者は一人もなかったと云うのであって、それも満更偽りではないであろう。
そして、彼が辛うじて学院の建物へ取り着いた後に於いて、津浪が絶頂に達したのであった。
彼は暫く校舎の屋上に上って茫然としていたが、ふと気が付くと、玉置女史の住宅の方の、女中部屋の屋根の上に立って頻りに手を振っている者があって、それが女中の「兼や」であった。
尤も彼自身に云わせると、自分は三度押し流されて死に損ねた、当時自分以外にあの激流の中へ飛び込んだ者は一人もなかったと云うのであって、それも満更偽りではないであろう。
そして、彼が辛うじて学院の建物へ取り着いた後に於いて、津浪が絶頂に達したのであった。
彼は暫く校舎の屋上に上って茫然としていたが、ふと気が付くと、玉置女史の住宅の方の、女中部屋の屋根の上に立って頻りに手を振っている者があって、それが女中の「兼や」であった。