退いたとは云っても、跡には土砂がそっくり残ってい、その堆積が所に依っては軒を埋める程の深さに達していて、何のことはない、雪にとざされた北国の町景色そのままであった。
そして始末が悪いことには、うっかりその上を歩きかけると、人喰い沼のように何処までもずぶずぶと体が呑まれて行くのである。
貞之助はさっきもそう云う泥沼に篏まり込んで片一方の靴を取られてしまっていたので、残る一方の靴も脱ぎ捨て、靴下だけの足袋跣足になって行ったが、いつもなら一二分のところを行くのに、実に二三十分を要したのであった。
退いたとは云っても、跡には土砂がそっくり残ってい、その堆積が所に依っては軒を埋める程の深さに達していて、何のことはない、雪にとざされた北国の町景色そのままであった。
そして始末が悪いことには、うっかりその上を歩きかけると、人喰い沼のように何処までもずぶずぶと体が呑まれて行くのである。
貞之助はさっきもそう云う泥沼に篏まり込んで片一方の靴を取られてしまっていたので、残る一方の靴も脱ぎ捨て、靴下だけの足袋跣足になって行ったが、いつもなら一二分のところを行くのに、実に二三十分を要したのであった。