「好え、好え、放っといて、お春どん」
ついシュトルツ家の裏庭の方で、子供たちの声がしているのでお春が呼びに行こうとするのを、雪子は止めて、ひとりテラスの葭簀張の下へ出て、白樺の椅子に掛けた。
さっき此処へ来る途々、自動車の窓からちらと見ただけでも、業平橋附近の惨状が想像以上であったのに彼女は驚いたのであったが、こうして此処を眺めた感じは昔の通りで、一木一草も損われてはいない。
「好え、好え、放っといて、お春どん」
ついシュトルツ家の裏庭の方で、子供たちの声がしているのでお春が呼びに行こうとするのを、雪子は止めて、ひとりテラスの葭簀張の下へ出て、白樺の椅子に掛けた。
さっき此処へ来る途々、自動車の窓からちらと見ただけでも、業平橋附近の惨状が想像以上であったのに彼女は驚いたのであったが、こうして此処を眺めた感じは昔の通りで、一木一草も損われてはいない。