突然の訪問客などがあると、女中たちは先ず客を玄関に待たして置いて、総掛りでこれらの堡塁や特火点を片附けなければならない。
或る時偶然シュトルツ夫人がテラスから部屋を覗き込んで、この有様に呆れながら、ペータアやフリッツはいつもお宅へ遊びに来てこんなことをするのでしょうかと尋ねたので、幸子が仕方なく肯定すると、夫人は苦笑いをして行ってしまったが、後で子供たちを叱ってくれたのかどうか、彼等の跋扈跳梁ぶりは一向改まる様子もなかった。
幸子を始め三人の姉妹たちは、西洋間の方を子供たちの遊び場所に明け渡して、昼間は大概食堂の西隣の、六畳の日本間へ来てごろごろしていた。