幸子は悦子を泳ぎに連れて行ってやりたくても大儀で気が進まない時などには、板倉に附いて行って貰うことがしばしばあった。
そんな調子で、日増しに懇意になるにつれて、言葉づかいなどもへんに心やすだてに、ぞんざいになり、勝手にそこいらの押入を開けたりすると云う風で、眼に余るところも見えては来たものの、用を頼めばどんなことでも厭な顔をせずに足してくれて重宝なのと、話が面白くて愛嬌があるのとが取柄であった。
或る日三人が六畳の間に臥ころびながら、いつものように掃き出し窓から流れて来る冷たい風を受けていると、庭から大きな蜂が一匹舞い込んで来て、最初に幸子の頭の上でぶんぶん云いながら輪を描き始めた。