………尤も妙子は、わりに新しく入門した弟子で、ようよう近年おさく師匠と親しくなったに過ぎないので、人々の話を幸子と二人で慎ましく聴いていただけであったが、それにしては師匠も特別に眼をかけてくれ、自分もいつかは名取にして貰おうと云う下心がないでもなかったのに、今はその望みも空しくなったのであった。
十三
「お母ちゃん、シュトルツさんが独逸へ帰らはるねんて。
………尤も妙子は、わりに新しく入門した弟子で、ようよう近年おさく師匠と親しくなったに過ぎないので、人々の話を幸子と二人で慎ましく聴いていただけであったが、それにしては師匠も特別に眼をかけてくれ、自分もいつかは名取にして貰おうと云う下心がないでもなかったのに、今はその望みも空しくなったのであった。
十三
「お母ちゃん、シュトルツさんが独逸へ帰らはるねんて。