貞之助の身の周りの世話は、妙子が留守をしてくれるので心配はないとすると、此方はお春を連れて行く方がいろいろの点で便利である、と云うのは、事に依ったら、学校の始まる時分までにお春を附けて悦子を先に帰すことにして、自分は暫くあとに残りたい、久し振に東京へ行くのであるから、少しはゆっくりして、芝居なども見て帰りたい、―――と、幸子は内々そんな目算を立てたのであった。
「あ、お春どんも来たのん」
雪子と、本家の長男の輝雄と、三人で東京駅へ出ていた悦子は、母のあとから思いがけなくお春が降りて来たのを見ると、歓声を挙げた。