幸子は、平素から言葉数の少い、引っ込み思案の雪子が、友禅模様の羅衣を着、洋装の悦子の手を引いて、外国人の紳士と少年とを案内しながら、帝国ホテルのロビーだの、丸の内の官衙街だのビルディング街だのに現れた光景を想像すると、いかにそれが不思議な組み合せであったろうかと思えるのであった。
そして、子供のお附合いに喰っ着いて来たシュトルツ氏が、言葉の通じない不自由さを忍び、絶えず気にして腕時計を見ながら、黙々として引っ張り廻されていたであろう恰好が、どんなに間の抜けた、当人にして見ればどんなに迷惑なものであったか、凡そ推量出来るのであった。
「お母ちゃん、あの絵画館見たことあるのん」