「ふん、こないだまではお美代どんもいてたけど、大阪へ帰らしてほしい云うし、梅子がよう一人歩きするようになったよってに、子守もいらんことや思うて、………」
それでも幸子は、さぞかし姉が所帯窶れをしているであろうと想像していたのに、思ったよりは髪かたちも小綺麗に、身なりを整えているのを見ては、どんなになっても嗜みを忘れないところのある姉に、感心しないではいられなかった。
十五を頭に、十二、九つ、七つ、六つ、四つと云う六人の子女と夫の世話をして、女中を一人しか使っていないのでは、もっともっと取り乱した、見えも外聞もない風体をし、実際の歳より十ぐらいは老けて見えてもよいところだのに、ことし三十八になる筈のこの人も、さすがにこの姉妹たちの姉だけあって、五つ六つは若く見える。