幸子はそう思って、抱かれた梅子が平手でぴたぴた叩いている姉の胸元の、まだたるみのない皮膚のつやと色の白さとを打ち眺めた。
貞之助は幸子が出て来る時に、子供連れで渋谷へ泊っては姉さんに気の毒だから、一と晩か二晩厄介になったら、あとは築地の浜屋にしたらどうであろう、都合で僕から浜屋の女将へ電話を懸けるなり手紙を出すなりして、頼んで上げるからと云ってくれたけれども、幸子は夫と一緒なら兎に角、悦子と二人で旅館に泊るのも気が進まなかったし、久々で姉と四方山の話をするには姉の家の方が便利であると考えた訳であった。
それで、お春を連れて来たのなども、自分達が厄介になっている間、少しは台所の手伝いをさせようと云う積りもあったのであるが、二日程そうしているうちに、彼女は矢張夫の言葉に従った方がよかったことに心付いた。