「それがなあ、ああ云う時には、ほんとうに親切で、情があって、気転が利いて、―――いつかの水の時かてそうやってんけど、―――」
姉の注文した中串と、幸子の注文した筏が焼けて来る間、ビールの肴に、幸子はひとしきりお春の店卸しをした。
自分の使っている小間使が褒められることは、主人としても鼻が高く、決して悪い心地はしないし、好んで人の欠点を吹聴するにも及ばないので、幸子はいつもお春のことを良く云われると、別に否定もせずに聞いているのが常であったが、又そう云っても、お春ぐらい外で評判のよい女中も珍しかった。