幸子は最初、洗張屋の張惣の主人が十五になるお春を置いてやってくれと云って連れて来た時、目鼻立が可愛らしいので使って見る気になったのであるが、ものの一と月も立つうちに、大変な娘を雇い込んでしまったことをだんだんと思い知らされて、母親の「あの持て余し者」と云った言葉が、決して一と通りの謙遜の辞でないことを悟るようになった。
分けても家族の者共が一番弱らされたのは、この少女の不潔なことであった。
尤も目見えに来た時から、手足がひどく真っ黒で垢じみていることは分っていたけれども、それが境遇のせいではなくて、入浴することや洗濯することの大嫌いな、当人の物臭な性質から来ていることが、間もなく明かになったのであった。