僕とこいさんとの結婚問題についてもお願いしたいことがいろいろあるのですが、それは他日に譲るとして、今は板倉と云うものをこいさんから遠ざけることが先決問題です。
仮にこいさんが僕との婚約を解消されるつもりとしても、(こいさんはそんなつもりはないと云っておられますが)あんな男と妙な噂が立つようなことがあったら、それこそこいさんの身の破滅です。
まさかこいさんも、蒔岡家のお嬢様として板倉などを本気で相手にされるつもりはないでしょうが、僕も最初にあの男を紹介した責任がありますので、監督者たる姉上に、何とかして僕の疑念をそっと打ち明けて御注意申し上げる義務を感ずるに至ったのです