いったい今年は、春に雪子の見合いの件があってから、六月には舞の会があり、引き続いてあの大水害、妙子の遭難、おさく師匠の逝去、シュトルツ一家の帰国、東京行き、関東大暴風、奥畑の手紙が捲き起した暗雲、………と、今迄随分いろいろな事件が多かったのに、それが此処へ来て一遍に静かになったので、一つはそのために、何かぽかんと穴の開いた、手持無沙汰な気がするのであろう。
それにつけても、幸子は自分の生活が、内的にも外的にも、如何に二人の妹達と密接に結び着いているかを、感じない訳には行かなかった。
幸いにして彼女の家庭は、夫婦の間も円満に行っているし、悦子は多少手のかかる児であるにしてからが一人娘のことであるし、本来ならば余りにも波瀾に乏し過ぎる、平和な親子三人の暮しなのであるが、今迄それに絶えずさまざまな変化を与えていたものは、二人の妹なのであった。