幸いにして彼女の家庭は、夫婦の間も円満に行っているし、悦子は多少手のかかる児であるにしてからが一人娘のことであるし、本来ならば余りにも波瀾に乏し過ぎる、平和な親子三人の暮しなのであるが、今迄それに絶えずさまざまな変化を与えていたものは、二人の妹なのであった。
だがそう云っても、それは二人の存在が煩わしいと云う意味ではなくて、反対に、二人のお蔭で常に家庭の色彩が豊富にされ、雰囲気が花やかにされているのを、幸子は喜んでいたのであった。
なぜかと云って、亡くなった父親の陽気で派手な性質を誰よりも濃く受け継いでいる彼女は、家の中の淋しいことが大嫌いで、いつも賑やかに若やいで暮して行きたかったからであった。