妻のしょんぼりしている様子を疾うから看て取っていた貞之助は、十月の末に新聞の演芸欄を覗きながら、
「おい、来月は六代目が大阪へ来るで」
と、そう云って、五日目あたりに行こうではないか、今度は鏡獅子が出るそうだから、こいさんも来られないか知らん、などと云ったが、妙子は来月も上旬は殊に忙しいから、自分は別の日に行くと云うことだったので、その日夫婦は悦子を連れて三人で出かけた。
妻のしょんぼりしている様子を疾うから看て取っていた貞之助は、十月の末に新聞の演芸欄を覗きながら、
「おい、来月は六代目が大阪へ来るで」
と、そう云って、五日目あたりに行こうではないか、今度は鏡獅子が出るそうだから、こいさんも来られないか知らん、などと云ったが、妙子は来月も上旬は殊に忙しいから、自分は別の日に行くと云うことだったので、その日夫婦は悦子を連れて三人で出かけた。