と、そう云って、膨らんで来る涙の玉を払うために指の先で睫毛を摘んだ。
二十三
妙子は玉置女史の出発が正月だと云うのに、もう十一月の上旬も過ぎてしまうので気が気でなく、貞之助兄さんはいつ東京へ行かはるやろうと、それとなく幸子に尋ねたりしたが、生憎貞之助は、大概二た月に一度ぐらいは上京の用事が出来るのだけれども、ここ暫く機会がなくて過ぎていたところ、鏡獅子を見た数日後に、二三日の予定で立つことになった。
と、そう云って、膨らんで来る涙の玉を払うために指の先で睫毛を摘んだ。
二十三
妙子は玉置女史の出発が正月だと云うのに、もう十一月の上旬も過ぎてしまうので気が気でなく、貞之助兄さんはいつ東京へ行かはるやろうと、それとなく幸子に尋ねたりしたが、生憎貞之助は、大概二た月に一度ぐらいは上京の用事が出来るのだけれども、ここ暫く機会がなくて過ぎていたところ、鏡獅子を見た数日後に、二三日の予定で立つことになった。