まあ、貞之助兄さんの云い方も拙かったのかも知れないから、そう一途になられては困る、こいさんの云うことも分るけれどもあたし等の立ち場も考えて貰いたい、直かに談判しに行くのもよいが、話すなら穏かに話したらどうか、本家に対してこいさんが喧嘩腰になられたら、私等が迷惑する、私等はそんなつもりでこいさんの味方をしたのではないのだから、―――と、こうも云い、ああも云いして言葉を尽したが、妙子も一時忿懣の余り感情の掃け口を求めた迄で、さすがにそれを実行する迄の勇気はないらしく、二三日するとだんだん興奮が静まって、いつもの落ち着いた妙子になった。
そして、それきりそのことをふっつり口にしなくなったので、ほっとしながらも幸子が内心気にしていると、十二月の中旬頃であったか、或る日突然、午後早く帰宅して、
「うち、仏蘭西語の稽古止めにしたわ」