―――そう云う風に考えて来ると、幸子はいつかも感じたこと、つまり、妙子の真意は奥畑を嫌って、体よく彼との結婚を解消したいのではないのか、そして洋行はその第一歩であり、職業婦人になることは、奥畑と切れた後の処世の手段なのではないか、と云う疑いが再び濃くなって来るのであった。
板倉の件についての疑念も、まだほんとうには釈然としないものがあった。
あれから後、板倉は訪ねて来たことがなく、電話や手紙の遣り取りなどもしている様子は見えないけれども、何分妙子は一日の大部分を外で暮しているのであるから、何処でどう云う風な絡繰をしていないものでもない。