あれきり板倉が全然姿を現わさなくなったと云うことは、却って尋常でないようにも思われ、蔭で交際しているのではないかと云う邪推も起る。
幸子のそんな風な疑念は極めて漠然としたもので、拠りどころのあるものではないけれども、それだけになお日が立つに連れてますます深く濃くなって来、どうしてもそうに違いないような気がすることもあった。
それには、幸子の眼から見て、妙子と云うものの外貌、―――その人柄や、表情や、体のこなしや、言葉づかいや、―――そう云うものが、この春あたりからだんだん変って来つつあるように思えることも、そんな疑いを持たせる理由の一つになった。