幸子のそんな風な疑念は極めて漠然としたもので、拠りどころのあるものではないけれども、それだけになお日が立つに連れてますます深く濃くなって来、どうしてもそうに違いないような気がすることもあった。
それには、幸子の眼から見て、妙子と云うものの外貌、―――その人柄や、表情や、体のこなしや、言葉づかいや、―――そう云うものが、この春あたりからだんだん変って来つつあるように思えることも、そんな疑いを持たせる理由の一つになった。
と云うのは、もともと妙子は四人の姉妹のうちで、一人だけ挙措進退がはっきりしていて、よく云えば近代的、と云えるところがあったのであるが、その傾向が近頃妙な工合に変貌して、不作法な柄の悪い言語動作をちらつかせるようになった。