そう云われてみると、ちょうど今、応接間のラジオが新響の演奏を放送中なのであったが、彼女は応接間から風呂場までにある戸障子を皆少しずつ開けて置いて、湯に漬かりながらそれを聴いているのであった。
それから、あれは今年の八月であったか、或る日小槌屋呉服店の若主人が誂え物を持って来たので、食堂で午後のお茶を始めていた幸子は、暫く妙子を応接間へ出して相手をさせながら、二人がしゃべるのを此方の部屋で聞いていたことがあったが、
「娘ちゃんは肥えてはりますさかい、単衣のべべをお召しになると、お臀を切られまっせ」