そして父親と云う人は、派手好みの豪奢な人であったから、娘達にもあらゆる贅沢をさせてくれたらしいのだけれども、彼女は自分がどれだけのことをして貰ったか、身に沁みて覚えていることはないと云ってもよいくらいである。
僅かな年齢の相違でも、雪子となると父親についていろいろな思い出があり、あの時にああもして貰った、こうもして貰ったと、よくそんな話をするのであるが、妙子は余りに幼な過ぎて、して貰ったことがあったとしても、それが本当に身に着いてはいなかった。
せめて舞の稽古でも続けていたらよかったのに、それも母親が亡くなってから一二年で止めた。