雪子はいつ何時お嫁に行ってもよいように、箪笥に一杯支度して貰っているけれども、彼女はこれと云う金高なものを余り拵えて貰ったことがなく、今持っている目ぼしい物は、大概自分が稼いだお金で拵えたか、そうでなければ二番目の姉が買ってくれた物が多いのであった。
尤も妙子にはそう云う風に別途の収入があるので、雪子と同等に待遇しては却って不公平になる、と、本家は云い、妙子自身も、私はお金に困らないから雪姉ちゃんにして上げてと云っていたが、事実現在では妙子が本家に負担を懸けている程度は、雪子の半分にも足りないであろう。
そして、そう云えば又、毎月相当の稼ぎ高があるとは云うものの、一方で貯金をしながら一方では洋服に最新の流行を追い、装身具などにも可なりの贅を尽している妙子の遣繰の巧さには、どうしたらああやれるものかと、幸子は毎々感心しているのであったが、(幸子は彼女の頸飾とか指輪の中には、奥畑貴金属店の陳列棚から出た物もあるのではないかと、密かに疑ったこともあった)お金の有難さをしみじみ知っていることに於いても、四人のうちで妙子が出色だったであろう。