それと云うのが、あの時にも話したように、彼処の家の一族は兄さん達でも叔父さんなどでも皆一廉の極道者であり、そう云う妙子自身の父も、よく遊ぶ人であったのを幼い時から見て知っているので、それくらいは啓ちゃんとしても仕方があるまいと、節操さえ守ってくれるなら野暮は云わないつもりでいたところ、奥畑の云うことは真っ赤な譃で、完全に人を欺していたのであることが、ふとした事件から次々に知れて来た。
次々と云うのは、宗右衛門町の芸者の外にも、或る踊り子と関係して、子まで生ませていたのであった。
奥畑はそれが知れたと分ると、巧いことの有りったけを並べて詑びを云い、踊り子の方は昔のことで今は切れている、子供と云うのも、実は誰の子だか分らないのを僕が背負い込まされたので、これも綺麗に親子の縁を切ってある、宗右衛門町のだけは寔に申訳がないが、今後は誓って関係を絶つ、などと云ったが、その時の態度なども、何か非常に上っ調子な、譃をつくことを何とも思わない破廉耻な人間のようなところが見えて、もうどうしても信用する気になれなかった。