彼は自分でも、又後で寄せて戴きますと云って出て行ったのだそうであるし、幸子も無論彼が帰りに立ち寄るものと予想して、心待ちにしていたと云うのに、無事と云うことを確かめさえすれば、義理は済んだつもりなのであろうか。
それにしても、人間の真価はああ云う際にほんとうによく分るものである。
妙子は奥畑が浪費家であるとか、浮気者であるとか、甲斐性なしであるとか、云う程度のことだけなら、何も縁であるから辛抱しようと云う考がないでもなかったが、未来の妻のためにズボンを汚すことさえも厭う軽薄さを見ては、すっかり望みを失ったのであった。