そこで、板倉と云うものが、いろいろの点で奥畑と好箇の対照をなして妙子の眼に映り出したのであるが、彼に対する彼女の感情は非常な速度で高まって行った。
本家のことを嗤う彼女にも、矢張家柄とか門地とか云う観念はあるので、板倉のような者を相手にする自分の立ち場の滑稽なことも考えられ、自制の念も働かないではなかったけれども、そう云う自分の頭の旧さに反抗する心の方が、一層強く作用した。
尤も彼女は、どう云う場合にも冷静を失わない性質なので、板倉を恋いするようになっても、そのために盲目になりはしなかった。
そこで、板倉と云うものが、いろいろの点で奥畑と好箇の対照をなして妙子の眼に映り出したのであるが、彼に対する彼女の感情は非常な速度で高まって行った。
本家のことを嗤う彼女にも、矢張家柄とか門地とか云う観念はあるので、板倉のような者を相手にする自分の立ち場の滑稽なことも考えられ、自制の念も働かないではなかったけれども、そう云う自分の頭の旧さに反抗する心の方が、一層強く作用した。
尤も彼女は、どう云う場合にも冷静を失わない性質なので、板倉を恋いするようになっても、そのために盲目になりはしなかった。