二十六
それから二三日の間、毎朝夫と悦子とが出かけたあとで、幸子は妙子を呼び入れては決心の程度を打診してみたが、妙子の腹はもう極まっていて動くけはいもなかった。
幸子は、奥畑と絶縁すると云うことは、本家は兎に角、私達は賛成なのだから、場合に依っては貞之助兄さんに這入って貰って、今後啓ちゃんが着き纏わないように、きっぱり話を附けて上げてもよい、洋裁の稽古のことも、今のところ公然と賛成する訳には行きかねるが、見て見ない振をしているぐらいは差支えないし、将来職業婦人になると云うことも、私達は敢て妨害はしない、本家に預けてあると云うお金のことも、今直ぐでは困るが、他日何か理由の立つ用途に当てるのであったら、適当の時期を見て、こいさんの手へ渡るように口添えをして上げてもよい、とまで云って、板倉と結婚することだけは思い止まるように説いて見たのであったが、妙子の口吻は、自分達は直ぐにも結婚したいところを、雪姉ちゃんのために待って上げているのだから、何卒それを最大の譲歩と思って欲しい、そして一日も早く雪姉ちゃんの縁を纏めて欲しい、と云わんばかりなのであった。