幸子は昨今の妙子に抱いている自分の不満を、一番よく理解してくれるのは雪子であろうと思うにつけ、彼女を呼び寄せて聞き役になって貰おうと云う気は、実は疾うからあったにも拘らず、妙子の新しい恋愛事件を打ち明けることに依って、彼女に及ぼすであろう心理的影響を顧慮するところから、つい差控えて来たのであったが、かと云って、それを何処迄も隠していて、端から雪子に知れた場合の気まずさも考えられた。
それに、折角智慧を借りる積りでいた貞之助に、ああ云う風に云われてしまうと、残る相談相手としては雪子より外にないので、何とか口実を構えても彼女を呼び寄せたい所であったが、それには好都合にも、亡くなったおさく師匠の追善の舞の会が、来月の下旬に大阪三越の八階ホールで催されることになったのであった。
山村さく師匠追善 山村流舞の会