と、今から来やはったらちょうど好い時分ですと、幸子から知らせて来たのが二時半頃であったが、出ようとするところへ来客があって三十分ばかり用談をしていると、大急ぎでお越しにならなんだら間に合いませんと、お春の声で又懸って来たので、あたふたと客を追い帰して、堺筋今橋の事務所から、一と跨ぎの距離なので帽子も被らずに昇降機に走り込み、電車通りを横切って向う角の三越へ駈け付けた。
そして、八階ホールの会場へ上って見ると、舞台ではもう妙子が舞っているのであった。
幸子の話だと、今日の会は郷土会の会員の外に、「大阪」同人会の方の会員と、その会が発行している機関雑誌の読者などが主で、一般に公開するのではないから、そんなに大勢は来ないであろうと云うことであったが、近頃珍しい催しなので、手蔓を求めて招待券を都合した者が多いらしく、椅子席は殆ど満員で、うしろの方に立って見物している一群もあった。