幸子は実はこの舞の会が済んでからと思っていたのであったが、夫婦の間にこんな話が出た二三日後、或る朝妙子が、この間の舞姿を写真に撮って置きたいからもう一遍あの衣裳を貸してくれと云って、畳紙の包を取り揃えて衣裳行李に入れ、それと、鬘の箱と、あの時の傘とを自動車に積んで出掛けたあと、折よく二人きりになったので、
「きっとこいさん、あの荷物持って板倉の所へ写しに行くねんで」
と云うようなことからしゃべり出して、去年の九月東京で奥畑の警告を受け取った驚きから、最近の舞の会に於ける廊下の活劇に至る迄を、掻い摘んで語った。