隣家に再びローゼマリーのような児が来てくれることを望んでいた悦子は、その点では失望したけれども、既に彼女には同級生の親しい友達が何人も出来ていて、少女は少女なりに、お茶の会とか誕生日のお祝とか、彼女達だけの交際社会を形作って招いたり招かれたりし合っていた。
妙子は相変らず忙しそうで、家で暮す時間よりは外で暮す時間の方が多く、三日に一度は夕飯の食卓に顔を見せないことがあったが、彼女は多分、家にいると幸子や雪子に口説かれるのがうるさいので、それを避けている気味もあるのではないかと、貞之助は察した。
それにしても、今度ばかりは妙子と二人の姉との間に感情の疎隔が生じはしまいか、殊に雪子との間がどうであろうかと、内々貞之助は案じていたが、或る日、夕方帰宅した彼は、幸子が見えなかったので、捜すつもりで浴室の前の六畳の部屋の襖を開けると、雪子が縁側に立て膝をして、妙子に足の爪を剪って貰っていた。