あれから此方、カタリナは人形製作の仕事にひとしきり程の熱意は持たないようになったが、と云って全く放棄してしまったのではなく、忘れた時分にひょっこり妙子の仕事部屋に現れ、近作を示して批評や指導を乞うと云う風で、二三年の間に技術も相当進歩していた。
が、いつ頃から始まったことか分らないが、そののち彼女にはルドルフと云う独逸人の「好い人」が出来て、それとの交際が面白いらしく、人形製作への熱意の減退もそれから来ているもののように妙子には思えた。
ルドルフと云うのは独逸系の某会社の神戸支店に勤めている青年社員で、妙子も嘗て元町の街上で紹介されたことがあり、それからも始終二人が散歩するのに行き合わすのであるが、見るからに独逸式面貌の、好男子と云うよりは素朴で剛健な感じのする、背の高いがっしりした男であった。