貞之助達の外に、この近所の株屋街の旦那らしいのが店員を二三名連れたのと、その向うの端に、花隈の芸者らしいのが姐さん株を頭に三人いるのと、それだけでもうぎっしりで、客達のうしろと壁との間には、人一人が辛うじて通れる通路しか空いていなかった。
それでも時々表の障子を開けては満員の店内をジロジロ見渡して、何とか都合して貰えないだろうかと懇願する―――哀願さえもする―――客が絶えないが、この店の親爺もよくある鮨屋の親爺の型で、無愛想を売り物にしており、常連のお客でも予め申込を聞いていない限り、這入れるかどうか見たら分るだろうと云う顔をして、突慳貪に断ってしまう。
そんな風だから、振りのお客は余程間拍子のよい時でなければ入れて貰えない。