それでも時々表の障子を開けては満員の店内をジロジロ見渡して、何とか都合して貰えないだろうかと懇願する―――哀願さえもする―――客が絶えないが、この店の親爺もよくある鮨屋の親爺の型で、無愛想を売り物にしており、常連のお客でも予め申込を聞いていない限り、這入れるかどうか見たら分るだろうと云う顔をして、突慳貪に断ってしまう。
そんな風だから、振りのお客は余程間拍子のよい時でなければ入れて貰えない。
常連の、ちゃんと電話で申し込んであるお客でも、時間が十五分か二十分おくれると断られたり、一時間ばかりその辺を散歩して来てくれ、などと云われる。