と記してあった。
佐藤家の女中はいつも気の毒そうな顔をして、「ボッシュさんからこんなことを云って来られましたから、兎も角もお見せ申します」と、笑いながらそれを置いて行くのであるが、犬の時は、ジョニーが夜じゅう吠えたのはほんの一と晩か二晩のことだったので、構わず放って置いたけれども、今度はそうも行かなかった。
と云うのは、悦子が病室に使っている離れ座敷、―――平素貞之助の書斎になっているその一と棟は、金網の垣根とは違う別の板塀で、全く覗かれないように囲ってあるけれども、距離的には一番裏の家に近いので、もとシュトルツ一家がいた頃には、貞之助の方が屡〻ペータアやローゼマリー等の騒ぐ声に悩まされたものであった。