お嬢ちゃん、まあ見て御覧、こんな工合に何ぼでも剥がれますねんと云いながら、瘡蓋の端を摘まんで引き剥がすと、ずるずると皮が何処迄でも捲れて行く。
その瘡蓋を拾い集めて手の中へ入れて、母屋の台所へ戻って来て、ほら、お嬢ちゃんの体からこんなに皮が剥けるねんと、それを下働きの女中達に見せびらかして気味悪がらすのであったが、しまいには皆が馴れて恐がらないようになった。
妙子が何と思ったのか、今の間にちょっと東京へ行って来る、と云い出したのは、悦子の病気がそう云う風に日増しに快癒しつつあった五月上旬のことであった。