その使い方がどうであるにしろ、兎に角それを独立の資金に充てようと云うのであり、又妙子ならば実際それだけに使いこなす能力を持っているのであるから、義兄が預かっているものがあるなら、出してやって欲しいと云う気が、彼女にはあった。
然るに、妙子に同行して東京へ出かければ、否でも応でも本家と妙子との間に立たされる羽目になり、ややもすれば姉に口説かれて、心ならずも本家に味方せざるを得なくなるであろう。
彼女はそれも厭であるが、さればとて、判然と妙子の側に立って姉夫婦を圧迫する程の義侠心は尚更ない、と云うのが正直なところなのであった。