幸子は今度も築地の浜屋を宿にしたが、妙子は彼女と策謀しているような形になるのを避けて、用談を片附けるまでは渋谷に泊り込み戦術を取ることにした。
で、大阪を「かもめ」で立って、着いた日の夕方、取り敢えず幸子は妙子を連れて浜屋まで行き、姉を電話に呼び出して、これからこいさんを送って行きたいのだけれども、あたしは今日は疲れているので、よう行かない、こいさん一人では道が不案内だから、勝手ながら輝雄ちゃんか誰かを迎えに寄越してくれないであろうか、と云うと、それなら、あたしが迎えに行ってもよい、まだ晩の御飯前だったら、何処かで三人落ち合って一緒に食べたいから、銀座あたりまで出向いてほしい、と姉は云った。
妙子は銀座まで出かけるなら、話に聞いているニュウグランドかローマイヤアへ行きたいと云うので、ローマイヤアと云うことにしたが、あたしも行ったことないねん、数寄屋橋で降りてどう行くのん、と、姉が却って幸子に尋ねる始末であった。