それでも、二人が一と風呂浴びて出かけて行くと、姉は先に来てテーブルの予約をして待っており、今日はあたしが奢るからと云った。
いつもこう云う時には、幸子の方が金廻りがよいところから、彼女が勘定を受け持つことに極まっているのであったが、今夜は姉が特別にあいそがよく、妙子に対してもいろいろと労わりの言葉を掛け、こいさんのことも忘れている訳ではないが、何しろ家が狭いものだから、雪子ちゃん一人をさえ持て扱っているような次第で、そのうちにこいさんも呼んで上げたいと思いながら、なかなか手が廻らないなどと、言訳とも付かないことを頻りに云った。
そして、三人が独逸ビールのジョッキーを一人で一つ宛空けて、ローマイヤアを出てから初夏の夜の銀座通を新橋の方へそぞろ歩きしたが、幸子は新橋駅前まで二人を送って行って別れた。