そして、三人が独逸ビールのジョッキーを一人で一つ宛空けて、ローマイヤアを出てから初夏の夜の銀座通を新橋の方へそぞろ歩きしたが、幸子は新橋駅前まで二人を送って行って別れた。
彼女は妙子が用談を済ませる二三日の間は、本家へ寄り着かないようにして、ひとりで何とか時間を過さなければならないので、女学校時代の同窓で東京に縁付いている友達の家を訪ねてでも見ようかなどと思っていたが、翌朝部屋で新聞を読んでいると、これからちょっと行ってもよいかと、妙子から懸って来た。
何か相談でもあるのかと聞くと、そうではないが、退屈だからと云う。