昨夜ほんとうの一人ぼっちで浜屋の二階に眠った幸子は、旅の空とは云えいかにも心細い気がして、夜じゅう寝られないでしまったので、これが五六日も続く佗びしさを考えていたのであったが、その晩は又ゆくりなくも十畳の座敷に妙子と二人、何年ぶりかで姉妹が枕を並べて横になった。
思えば、船場時代から娘盛りの年頃になるまで、彼女達は何年となく一つ部屋に起き臥ししたもので、その習慣は幸子が貞之助と結婚するつい前の晩まで続いたのであった。
尤も、ずうっと昔のことは知らず、彼女が女学校の時分から、上の姉だけは別の部屋に寝て、幸子以下の三人が二階の六畳に寝ることになっていたので、妙子と二人きりのことはめったになく、大概二人の間に雪子が挟まり、どうかすると、部屋が狭いので二つの寝床に三人が寝たりしたこともあった。