それで、当人は痛い痛いを繰り返すばかりで、こいさんを呼んでくれとも何とも云っている訳ではないが、あの苦しみ方はただごとではないような気がする、恐らくもう耳鼻咽喉科の領分ではなくなっているらしいので、誰か外の先生に診て貰いたいのだけれども、自分の一存ではどうすることも出来ず、思案に余ってお電話致しましたと、そう妹は云うのであると云う。
その後の様子は分らないかと云うと、さっきこいさんから今夜立つと云う電話があったので、そのことを知らせてやった時の話では、ますます悪く、狂人のように悶えつづけている、国の方へも電報を打ったから、明日の朝は親達も来るだろうと思います、と云うことであったと云う。
幸子は妙子が今立って行ったこと、自分も後に残っていても仕様がないので、明日じゅうには立つ積りであること、等々を語って、電話を切りしなに悦子の様子を尋ねると、これはもう元気になり過ぎて、病室に大人しくしていることが出来ず、ふらふらその辺へ飛び出したがって始末に負えない、瘡蓋も体じゅう殆ど剥がれて、纔かに足の蹠に少し残っているだけである、と云うのであった。