雪子は、いったい何が原因でそうなったのか、耳の手術と脚の痛みとどう云う関係があるのかと聞いたが、それは妙子にもよく分っていなかった。
と云うのは、院長がさっぱり説明を与えてくれないばかりでなく、患者が苦しみ出してからは、逃げを打って成るべく寄り付かないようにしているからであったが、看護婦が洩らした言葉やしろうと考で想像すると、手術の時に何か悪性の黴菌が這入って、その毒が脚の方へ循ったものであるらしかった。
しかしそのうちに、今朝早く国から出て来た老父母や嫂などが病室の外の廊下で相談し始めたので、磯貝院長も捨てて措けなくなり、午後になってから某外科病院の院長に来診を乞い、一室に籠って二人で暫く凝議していたが、やがてその外科の院長が辞去したと思うと、今度は又別な外科医が現れて、それも診察後磯貝院長と何かこそこそ話し合って引き揚げてしまった。