妙子はそれに附け加えて、自分は今朝病人の状態を見、妹から経過を聞いた時に、これは一刻も猶予はならない、院長に気がねなどしている場合でないから、即座に信用ある医師の来診を求めて善処すべきであると思ったけれども、何しろ田舎の年寄たちは気が長いので、徒に額を鳩めてどうしようこうしようと云うばかりで一向決断に至らない。
そんな風にして時間を空費することが、取り返しの付かない結果になるのは分っていたけれども、自分は今日がその人達と初対面であるから、あまり出過ぎたことも云えず、云って見ても、へえ、そうでございますかなあと云うだけで、動いてくれないので、歯痒くてならなかった、と云うのであった。
以上が昨日の夕方の話であるが、妙子は今朝六時頃に又一度帰宅し、二時間程休息して出かけて行ったので、その時に聞くと、昨夜おそく院長が又一人鈴木と云う外科医を引っ張って来たところ、結果については保証出来ないがそれで宜しければ、と云うことで手術することを承諾した、しかしそうなってもまだ親達の方の決心が付かないのだと云うことであった。