そんな風にして時間を空費することが、取り返しの付かない結果になるのは分っていたけれども、自分は今日がその人達と初対面であるから、あまり出過ぎたことも云えず、云って見ても、へえ、そうでございますかなあと云うだけで、動いてくれないので、歯痒くてならなかった、と云うのであった。
以上が昨日の夕方の話であるが、妙子は今朝六時頃に又一度帰宅し、二時間程休息して出かけて行ったので、その時に聞くと、昨夜おそく院長が又一人鈴木と云う外科医を引っ張って来たところ、結果については保証出来ないがそれで宜しければ、と云うことで手術することを承諾した、しかしそうなってもまだ親達の方の決心が付かないのだと云うことであった。
親達、殊に母親は、どうせ助からないものならそんなむごたらしいことをしないで、満足な体で死なしてやりたいと云い、妹は助からない迄も出来るだけの手段を尽してみるのが当然であると云うので、妹の意見の方が正しいことは明瞭であるけれども、それが年寄たちにはなかなか呑み込めない。