幸子は、妙子が板倉のことを「米やん」と呼ぶのを始めて聞いた。
蘆屋の家で妙子が彼の噂をする時はいつも「板倉」と云っており、幸子も、雪子も、悦子までも、蔭では「板倉々々」と呼び捨てにしているのであるが、彼の本名は「板倉勇作」で、「米やん」と云うのは、奥畑商店に丁稚奉公をしていた時分、「米吉」と呼ばれていたところから起ったのであった。
「板倉さん」
幸子は、妙子が板倉のことを「米やん」と呼ぶのを始めて聞いた。
蘆屋の家で妙子が彼の噂をする時はいつも「板倉」と云っており、幸子も、雪子も、悦子までも、蔭では「板倉々々」と呼び捨てにしているのであるが、彼の本名は「板倉勇作」で、「米やん」と云うのは、奥畑商店に丁稚奉公をしていた時分、「米吉」と呼ばれていたところから起ったのであった。
「板倉さん」