老夫婦の云っていることはひどく小声で、幸子には聞き取れないけれども、母親が何か頻りに歎息するような口調で云うのに、父親も動かされながら耳を傾ける様子である。
妙子と妹とはその間に嫂を掴まえて、外科的手段を取らずに殺しては親兄弟の越度になることをくどくどと云い聞かせて、何とかして母親を納得させてくれるように頼んでいる。
嫂は二人に口説かれると、それも尤もと思うらしく、母親のところへ立って行って、いろいろ云って見るけれども、母親は、どうせ死ぬなら満足な体で死なしてやってくれの一点張りで、それを押し切って頼むと、そんなむごたらしいことをして、きっと助かると云う保証をしてくれるかと逆襲する。