病人は、手術後病室へ運ばれて、麻酔から覚めると、枕もとにいる妙子を見上げて、ああ、僕は跛足や!
と、悲痛な声を洩らしたが、それでも磯貝医院以来呻き続けてばかりいた病人が、尋常な物云いをしたのはその時が始めてであった。
そればかりでなく、病人は、今の一語に徴すると、あの呻く怪物のように見えていた折にも、自分が現在どのような状態にあるのかをちゃんと意識しており、自分の傍でどんな相談が進行しているのかをも、よく知っていた訳なのであった。
病人は、手術後病室へ運ばれて、麻酔から覚めると、枕もとにいる妙子を見上げて、ああ、僕は跛足や!
と、悲痛な声を洩らしたが、それでも磯貝医院以来呻き続けてばかりいた病人が、尋常な物云いをしたのはその時が始めてであった。
そればかりでなく、病人は、今の一語に徴すると、あの呻く怪物のように見えていた折にも、自分が現在どのような状態にあるのかをちゃんと意識しており、自分の傍でどんな相談が進行しているのかをも、よく知っていた訳なのであった。